
利用団体の特性などに配慮することなく、その利用計画を制約してしまうといった例が見られる。このため、障害の状態・程度によっては、その生活時間に追われることになってしまい、場合によっては利用の目的・活動の目的が必ずしも十分に達成できないといった問題点も指摘されている。
こうした点について、障害者を含めた多様な利用者の多様な利用目的に適切に対応していくという観点に立って、柔軟で合理的な運営の転換を期待するものである。
■障害者のための魅力ある事業プログラム
施設利用の大半を占めるのが受け入れ事業であり、その充実を図ることは極めて重要な課題である。これまでにも青年の家・少年自然の家は、各施設の特色を活かした多様な活動プログラムの開発に努めてきてはいるが、心身障害者を対象にした活動プログラムを企画している青少年教育施設は極めて少ないのが現状である。
現在、障害者が青少年教育施設の事業に参加する場合は、一般の活動プログラムの中から適用できる内容を選択するか、もしくは示された活動プログラムを障害の種別および程度によって改良し実施しているのが実情である。
今後一層の充実を図るため、各施設の個性を十分に発揮するとともに、障害者一人ひとりが持っている能力を引き出し、伸張させるような魅力ある活動が展開できるような事業プログラムの充実に期待したい。
活動プログラムの提供に際しては、単にメニューを提供するというだけではなく、障害者の利用の目的や活動のねらいに応じ、それらが効果的に達成できるよう、相談機能を充実し、プログラムの実施方法にまで踏み込んだ専門的なアドバイスを行っていくことが必要になる。
このような多様なニーズや課題に対して適切に対応していくためには、専門職員の専門分野についての多様化を図り、かつボランティア養成をすすめていく必要がある。障害者の利用の促進から見れば、障害者教育経験者の各施設への配置などはぜひとも検討すべき課題ではないだろうか。
■障害者が安心して利用できる施設設備
(1)安全で個性豊かな施設
ア 障害者に対して安全面に十分配慮された施設であること。
イ 視覚障害者、聴覚障害者の安全な誘導のための標識や誘導設備など必要な施設・環境の整備が整っていること。例えば、各ポイントにおける点字ブロック、誘導灯等の誘導設備が必要である。
ウ 避難時の動線の設定に十分留意しつつ、障害者にとってわかりやすく、かつ、記憶しやすいように各施設部分が配置されていること。特に精神薄弱者の活動範囲を規定しやすいよう各施設部分が配置されてることが望ましい。また、各建物は、肢体不自由者および精神薄弱者等の多様な形態による建物間の移動に対応できるよう配置されていることが望ましい。松葉杖・車椅子使用者が安全かつ迅速に移動できる動線の確保が必要である。
(2)快適で活動しやすい施設
ア 駐車場、乗降場などは、補助用具を使用した障害者の乗降が安全かつ円滑に行えるような規模を確保し、昇降口との連絡のよ
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